靴を履かせようとしたら、大泣き。
スプーンを使ってあげたら、のけぞって泣き叫ぶ。
「早くしないといけないのに、どうして!」
「何がそんなに嫌だったの…」
そんな場面が毎日のように続いている方も、いるかもしれません。
2〜3歳のこどもが突然大泣きするとき、その多くに「自分でやりたかった」という気持ちが隠れています。
この記事では、保育士として15年間こどもたちの感情爆発に向き合ってきたわたしが、その理由と、そのとき保育園でしていた対応をお伝えします。
なぜ「自分でやりたい!」でここまで大泣きになるの?
2〜3歳は「じぶんで!」が最大のテーマ
この時期のこどもは、「自分でやる」という気持ちが急速に育ちます。
靴を履く、スプーンを持つ、ドアを開ける。大人から見れば小さなことでも、こどもにとっては「自分でできた!」という大切な達成感につながります。
そこに大人が先に手を出してしまうと、「やりたかったのに!」という気持ちが一気にあふれてしまうんです。
これは、わがままでも、反抗でもありません。「自分」というものを感じ始めた、成長のまっただ中にいるサインです。
言葉より先に、体が反応してしまう
「悔しい」「悲しい」という気持ちを言葉にするには、まだ経験が足りない年齢です。
やりたかったのに手伝われた悔しさ、思い通りにならなかった悲しさ。そういう複雑な気持ちを、泣く・叫ぶ・のけぞる、という形で体全体で表現するしかないんです。
大きな泣き方ほど、それだけ大きな気持ちがあふれたということ。そう思うと、少し見方が変わるかもしれません。
爆発した瞬間に、保育士がしていること
まず「そばにいる」だけでいい
大泣きが始まったとき、保育士がまず最初にすることは——何も言わずに、そばにいることです。
「どうしたの?」「なんで泣いてるの?」と聞いても、この状態では言葉が入りません。
ただ、横に座って、嵐が過ぎるのを待つ。
「わかってるよ」という気持ちで静かにそばにいる。それだけで、こどもは「ひとりじゃない」と感じられます。急いでいるときこそ難しいのですが、この「待つ」がいちばん大切な時間です。
こんな対応は逆効果になることがあります
よかれと思ってやりがちだけど、逆効果になりやすいことをお伝えします。
「もうやってあげない!」と言う
→ 見捨てられるような怖さが加わって、さらに混乱してしまいます。
「なんで泣いてるかわからない」と言う
→ わかってもらえないと感じて、気持ちがもっと大きくなることがあります。
感情が高ぶっている最中に「ほら、自分でやって」とうながす
→ まだ嵐の中にいるうちに動かそうとすると、激しくなりやすいです。
保護者の方も必死なので、つい口から出てしまう言葉だと思います。うまくいかない日があって当然です。「あ、言ってしまった」と気づいたなら、それだけで十分です。
嵐がおさまったら、気持ちに名前をつける
少し落ち着いてきたなと感じたら、こどもの気持ちを代わりに言葉にしてあげます。
「自分でやりたかったんだよね」
「できると思ってたのに、悔しかったよね」
責めるでも、なだめるでもなく、ただ気持ちを言葉にする。それだけです。
すごく単純ですが、こどもは「わかってもらえた」と感じてふっと落ち着くことがあります。言葉が届くのは、嵐が過ぎてからです。
わたし自身も、同じことをやってしまいました
うちの子が靴を履こうとしていたとき、時間がなくて「手伝うね」と先に履かせてしまったことがありました。
そのとき大爆発。「じぶんで!」と泣き叫びました。
保育士のくせに、とちょっと恥ずかしかったのですが(笑)。
でも、そばで落ち着くのを待って、「自分でやりたかったんだよね」とひとこと言ったら、涙をぬぐってもう一度靴に向かい始めたんです。
少し時間はかかったけれど、最後に「できた!」という顔を見られたことが、わたしにとっても一番うれしかった瞬間でした。
次からは「先に一言聞く」が効きます
「やってあげよう」と思ったとき、まず一言だけ聞いてみてください。
「自分でやる?それとも手伝おうか?」
たったこれだけで、こどもは「選ばせてもらえた」と感じられます。急いでいるときほど難しいのですが、この一言が習慣になってくると、爆発の前に気持ちが落ち着きやすくなります。
まとめ|大泣きは、「この子」が育っている証拠
「自分でやりたかった!」という大泣きは、こどもが自分を主張できるようになってきた証拠です。
爆発の瞬間は、こちらも焦りますよね。うまく対応できなかった日があっても、それで当たり前です。
大切なのは、嵐の中でそばにいること。落ち着いたときに「わかってるよ」と伝えること。それだけで十分だとわたしは思っています。
あなたが毎日こどもと向き合っていること、それ自体がもう、十分すぎるくらい立派なことです。







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