「ママ、パパ、いかないで!!」
しがみつく、小さな手。
泣き声を背中で聞きながら、そっとドアを閉める朝。
仕事へ向かいながら、頭の中でぐるぐると考えてしまいます。
今も泣いてるかな。まだ小さいのに、無理させてるのかな。本当にこれでいいのかな…。
はじめまして。保育士のわかばです。
保育士歴15年。これまでたくさんのお子さんと保護者の方を見てきました。
そして私自身、保育士でありながら、我が子を1歳で保育園に預けて仕事に復帰した母親でもあります。
慣らし保育初日の朝のことは、今でも忘れられません。
我が子が、泣きながら私にしがみつく姿。
バイバイして、離れてからも見えない場所でこっそり見ていたら、私と別れた場所に何度も泣きながら向かっていました。その小さな足で、一生懸命に。
保育園を出てから、涙が止まりませんでした。
仕事復帰、早すぎたかな。まだこんなに小さいのに。私、続けていけるのかな。
保育士として、毎日こどもたちのそばにいる私でさえ、そう悩みました。
今でも、あの朝の姿を思い出すと、胸が締め付けられて涙が出そうになります。
だから、この記事を読んでいるあなたの気持ちが、痛いほどわかります。
毎朝泣く我が子を置いてくる罪悪感。自分の選択が間違っていたのではないかという不安。
その苦しさを、保育士として、そして同じ経験をした親として、一緒に考えさせてください。
「行きたくない!」その涙の正体
保育園を嫌がる、泣く、しがみつく。いわゆる「登園しぶり」は、4月の新入園・進級の時期に特に多く見られます。
保育園に初めて入園するお子さんは、0歳、1歳・2歳のお子さんが多いです。
まだ言葉で「怖い」「不安」「パパ・ママがいい」とうまく伝えることができない。
だからこそ、泣くことが唯一の表現手段です。
泣く理由は、シンプルです。
「パパ・ママと離れたくない」
これは心理学的に「愛着行動」と呼ばれ、大切な人と離れるときに不安を感じて引き止めようとする、こどもにとってごく自然な発達の姿です。
ここで大切なことをお伝えします。
「泣かれる」ということは、あなたがこどもに深く愛されているということです。
「一緒にいたい」「この人と一緒にいると一番安心」と感じているから、あなたのそばを離れたくなくて泣く。
ちゃんと愛着が育まれている、健やかな証拠なんです。
【保育士歴15年が正直に伝える】預けた後、こどもはどうなっているか
ここが、この記事で一番お伝えしたいことです。
最初にお断りしておくと、初めての入園の場合「預けてすぐ泣き止む」ということは、あまりありません。
特に0歳・1歳・2歳のお子さんは、お父さん・お母さんがいなくなった後もしばらく泣き続けることも多いです。
保育士として正直にお伝えします。
でも、だからこそ知っていてほしいことがあります。
保育士はそのそばについて、抱っこしたり、背中をさすり、声をかけ、好きなおもちゃを見せながら、全力で寄り添っています。
泣いていても、あなたのお子さんはひとりではありません。
そして少しずつ、変化が見えてきます。
🌱 1週間〜2週間が経つころ
泣く時間が、日に日に短くなってきます。
お気に入りの先生の顔を見ると、表情がほぐれる瞬間が出てきます。
🌿 3週間を過ぎるころ
泣かない時間が長くなってきます。
特定のおもちゃやコーナーに興味を持つ時間が生まれてきます。
🌸 もう少し経つと
先生やお友だちとの関係が育ってきます。
特定の先生に甘えられるようになったり、お友だちも興味をもったり、笑顔も増えてきます。
泣く時間が短くなること自体が、お子さんの大きな成長です。
そして、お迎えの時間。
「ただいま!」とやってきたお父さん・お母さんの顔を見た瞬間の、あの表情。
最初のうちは泣きながら駆け寄ってくることもありますが、それも日に日に変わっていきます。
その一日いちにちの小さな変化を、保育士さんたちはちゃんと見ています。
「今日は給食を少し食べてくれましたよ」
「窓の外の鳥を見て、指さしてくれましたよ」
「おやつのとき、にっこりしてくれました」
連絡帳に書いてあることやお迎え時の一言、全部本当のことです。
声を大にして伝えさせてください。
「あなたのお子さん、今日も保育園で成長しています。」
保育士である私も、我が子を預けて泣いた
少し、私自身のことをお話しさせてください。
私自身も我が子を1歳で保育園に預けて職場に復帰しました。
「こどもの発達のことは知っている。慣らし保育で泣くことは自然なことも知っている。」
頭ではわかっているんです。
でも、実際に自分のこどもが泣きながらしがみついてくる姿を見たとき——
知識は何の役にも立ちませんでした。
保育園を出てから、歩きながら涙が出ました。
仕事中は切り替えられても、仕事後はあの顔を思い出し、必死でお迎えに向かっていました。
あんなに小さいのに。まだ1歳なのに。仕事復帰、早すぎたかも。
でもこれ以上休みは取れないし、、、。夢だった大好きな仕事だけど。
私、母親として間違ってるのかな。仕事を続けていけるのかな。
何度もそう思いました。
今でも、あの朝の姿——泣きながら私を追いかけてきた小さな姿——を思い出すと、胸が締め付けられて涙が出そうになります。
でも今、その子は大きくなりました。
あの朝のことを本人は覚えていないくらい、元気に育っています。
(本人に聞いたら、私が泣いてしまいそうで聞けていませんが、笑)
あの頃の私に言ってあげたいことが、今日この記事を読んでいるあなたにも届けばいいと思っています。
大丈夫だよ、こどもはここでたくさん成長するよ。
登園で泣くのは、いつまで続く?現場で見てきたリアルな話
「登園の時に泣くのは、いつまで続くの?」
保護者の方からよく聞かれる質問です。
正直に言うと、個人差がとても大きいです。
「〇週間で必ず慣れます」とは言い切れません。
でも、現場で15年見てきた感覚をお伝えすると、こんなパターンがあります。
🌱 環境に慣れるのが早いタイプ(1〜2週間)
好奇心が旺盛で、新しい場所にわりとすぐ興味を持てる子。
泣きながらも、気づいたら先生のそばで過ごせるようになってきます。
🌿 じっくり慣れていくタイプ(3〜4週間)
泣く日、泣かない日を繰り返しながら、少しずつ保育園での時間になじんでいく子。
ゆっくりでも確実に、自分のペースで慣れていきます。
🌸 波のあるタイプ(1ヶ月以上)
慣れてきたと思ったら、また泣きが戻る…というケース。
特にGW明けは要注意です。長い連休で「おうちモード」に戻り、また泣くのが復活、ということがよくあります。でも、最初までリセットにはなりません。大丈夫です。
でも、どのタイプでも必ず、変わる朝がきます。
泣かずに先生に手を伸ばせる朝。
バイバイって手を振れる朝。
「いってらっしゃい」と見送ってくれる朝。
その瞬間は突然やってきます。
保育士も一緒に嬉しくなる、大好きな瞬間です。
毎朝の登園をすこし楽にする、保育士おすすめの方法
① 別れ際は短く、笑顔で
こどもは、お父さん・お母さんの表情と雰囲気を敏感に読んでいます。
不安そう、悲しそうにしていると、こどもも「やっぱりここは安心できない」と感じてしまいます。
つらくても、ギュッと抱きしめて
「いってくるね、お仕事終わったらお迎えに来るからね」
と笑顔で預けることが、こどもに「ここは安全な場所」と伝える一番の方法です。
② 具体的な時間で約束する
「すぐ戻るよ」は0歳・1歳・2歳の子には伝わりません。
「給食食べたらお迎えに来るよ」
「お昼寝したら来るよ」
こどもがイメージできる言葉での約束が、安心につながります。
③ 先生に今朝の様子を一言伝える
「昨夜あまり眠れなかったみたいで」
「今日は少し元気がなくて」
こんな一言があるだけで、保育士はそのことを配慮しながら接します。
気になることは小さなことでも、遠慮なく話してください。
④ 預けたら、前を向いて歩く
一度預けたあと、何度も振り返ったり、窓からのぞいたりすると、
気持ちを切り替え始めたこどもが、また泣き出してしまうことがあります。
「行くと決めたら前を向く」
これがこどものためにも、自分のためにもなります。
(保育園によっては、一度バイバイした後に、外の窓からバイバイして、お互いに気持ちを切り替えるところもありますのでその時は、もちろんしてください)
⑤ こんな言葉はNG
- 「すぐ戻るよ」→ 具体的に言ってあげたほうが、安心につながります。
- 「泣かないで」→ 泣いてはいけないと感じさせてしまいます
- 「保育園行かないと、〇〇できないよ」→ 脅しは逆効果です
- 遊び始めたら、こっそりいなくなる→置いて行かれたと思って、気づいたら泣きます
泣かせてしまう自分を責めないで
最後に、一番伝えたいことを。
毎朝、泣く子を置いてくる自分を「ひどい親だ」と責めているお父さん・お母さんへ。
違います。
仕事復帰が早すぎたかもしれない、という罪悪感。
泣かせてしまっているという申し訳なさ。
続けていけるのかという不安。
私も、全部感じました。保育士なのに。15年この仕事をしているのに。
でも今だからわかることがあります。
こどもはちゃんと育ちます。あの朝の涙の記憶よりも、もっともっと大きなものを積み重ねていきます。
多くの大人と出会い、お友だちと過ごし、家の外の世界を知っていく。
それはこどもにとって、豊かな時間です。
そして——
泣かれるのは、あなたが愛されているからです。
「行きたくない」と泣ける場所は、こどもにとって「ここが一番安全」な場所。
あなたのそばが、世界で一番安心できる場所だから、離れたくなくて泣く。それだけのことです。
保育士さんたちは、あなたに代わって、その子の今日を全力で支えます。
出勤途中で涙が出てしまっても、大丈夫。
「今日もよく頑張った」と、こどもだけじゃなく、自分にも言ってあげてください。
まとめ
- 登園の時に泣くのは、愛着形成の証。悪いことではありません
- 預けた後すぐに泣き止むことは少なく、少しずつ泣く時間が短くなっていきます
- 0歳・1歳・2歳からの入園は個人差が大きい。変わる朝は必ずきます
- 別れ際は短く・笑顔で・具体的な約束を
- 保育士歴15年の私も、わが子の登園で涙しました。同じ朝を乗り越えてきた仲間がここにいます
4月の朝は、こどもにとっても、親にとっても、新しいステージへの一歩。
泣く子を保育園に連れていくことは、ひどいことでも、かわいそうでもない。
こどもの世界を、一歩広げてあげることです。
あなたの毎朝に、「おつかれさま」と伝えたくて、この記事を書きました。
明日の朝も、どうか前を向いて歩いていけますように。🌱
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